理学療法士と作業療法士の違いは?仕事内容・資格・年収を2026年最新比較
理学療法士と作業療法士は、どちらもリハビリテーションを通じて人の自立した生活を支える国家資格の専門職です。ただし、得意とする支援の領域には違いがあります。理学療法士は、立つ・歩くといった基本動作や身体機能の回復を中心に支援し、作業療法士は、食事・着替え・家事・仕事など、その人が望む生活行為の再獲得を幅広く支援します。
2026年の進路選びでは、仕事内容だけでなく、対象者、活躍する職場、養成校での学習、国家試験の合格状況、就職先や年収まで比較することが大切です。厚生労働省の法令・職業情報と各職能団体の公式資料を踏まえ、両者の違いと共通点、向いている人の特徴を整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 仕事内容の違い:理学療法士は基本動作や運動機能、作業療法士は日常生活動作や社会参加を中心に支援する。
- 資格と進路:どちらも国家資格で、指定された養成課程などを修了し、国家試験に合格して免許を取得する必要がある。
- 2026年の最新情報:第61回国家試験の合格率は理学療法士89.7%、作業療法士91.2%。就職先や給与は職場・地域・経験によって異なる。
【結論】理学療法士と作業療法士の違いは「動作の回復」と「生活の再獲得」
理学療法士はPT、作業療法士はOTと略されます。両者の違いを理解するうえで重要なのは、リハビリの目的を「身体がどのように動くか」と「その身体を使って何ができるか」という視点から考えることです。
例えば、脳卒中で入院した人が再び自宅で暮らすことを目指す場合、理学療法士は筋力や関節の動き、立ち上がり、歩行、階段昇降などを評価し、移動能力の改善を目指します。一方、作業療法士は、片手で服を着る、食事をする、トイレを利用する、料理をするなど、生活に必要な動作を評価し、本人ができることを増やすための訓練や環境調整を行います。
根拠となるのは、1965年に制定された「理学療法士及び作業療法士法」です。同法第2条は、理学療法を主として基本的動作能力の回復を図るもの、作業療法を主として応用的動作能力や社会的適応能力の回復を図るものと定義しています。
ただし、これは完全に分離された仕事という意味ではありません。歩行能力の改善は、トイレや買い物への自立につながります。着替えの練習でも、立位保持やバランス能力が必要になることがあります。実際の医療・介護現場では、両職種が評価や目標を共有しながら支援するケースも多くあります。
つまり、理学療法士は身体だけ、作業療法士は生活だけを扱うという理解では不十分です。両者とも身体機能と生活の両方を見ながら、専門性の異なるアプローチで自立を支えています。

【仕事内容・対象者・リハビリ内容】両者の違いを一覧で比較
仕事内容を比較すると、理学療法士は運動機能や基本動作の評価・訓練、作業療法士は生活動作や社会参加に向けた評価・訓練に、それぞれ専門性があります。具体的な違いを一覧にまとめました。
| 比較項目 | 理学療法士(PT) | 作業療法士(OT) |
|---|---|---|
| 主な役割 | 身体機能と基本動作の回復・維持 | 生活動作と社会参加に必要な能力の回復・獲得 |
| 主な対象者 | 病気やけがなどで運動機能が低下した人、障害の発生が予測される人など | 身体・精神・発達・高齢期の障害などで生活行為に困難がある人など |
| 代表的な訓練 | 筋力訓練、関節可動域訓練、起き上がり、立位、歩行、階段昇降 | 食事、更衣、入浴、排泄、家事、手作業、仕事や趣味への復帰に向けた訓練 |
| 評価の視点 | 筋力、関節の動き、バランス、歩行能力、身体機能など | 生活動作、認知機能、精神面、作業遂行能力、生活環境など |
| 支援の具体例 | 安全に立ち上がる、歩く、移動するための練習 | 片手で着替える、調理する、道具を使うための練習や環境調整 |
| 主な活躍の場 | 病院、リハビリテーション施設、介護施設、訪問リハビリ、スポーツ関連など | 病院、精神科医療機関、介護施設、訪問リハビリ、児童・障害福祉、就労支援など |
| 必要な資格 | 理学療法士の国家資格 | 作業療法士の国家資格 |
この比較は一般的な役割の整理です。実際に担当する訓練は、疾患や障害の状態、医師の指示、本人の目標、勤務先の機能などによって変わります。
理学療法士の仕事内容:歩く・立つ・動く力を支える
公益社団法人日本理学療法士協会は、理学療法士を、座る・立つ・歩くといった基本動作能力の回復や維持、障害の悪化予防を支援する専門職と説明しています。
理学療法士の仕事は、単に筋力トレーニングを指導することではありません。身体機能や動作を評価し、本人の目標に合わせて訓練計画を立て、実施した結果を確認しながら支援内容を調整します。
- 骨折や手術後の筋力・関節可動域の回復
- 脳卒中後の立ち上がりや歩行能力の改善
- 加齢による身体機能の低下を防ぐ介護予防
- 車いすや歩行補助具を使った安全な移動の支援
- スポーツ復帰や身体機能の維持に向けた運動支援
理学療法士は、医療機関だけでなく、介護予防事業、訪問リハビリ、地域活動、スポーツ分野などでも活躍しています。重要なのは、歩行の改善そのものをゴールにするのではなく、歩けるようになることで通院や買い物、家族との外出などを実現できるかまで考えることです。
作業療法士の仕事内容:食事・着替え・家事・社会参加を支える
作業療法士が扱う「作業」は、手芸や工作だけを指す言葉ではありません。一般社団法人日本作業療法士協会の定義では、日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養など、人が営む生活行為が幅広く含まれます。
例えば、脳卒中の後遺症で片手が使いにくくなった人に対しては、食器の持ち方や衣服の着脱方法を工夫し、必要に応じて自助具を活用する方法を検討します。退院後の生活を想定し、自宅の家具配置や浴室・トイレの環境を調整することもあります。
- 食事、更衣、整容、入浴、排泄などの日常生活動作の訓練
- 料理、洗濯、買い物などの家事・生活管理の練習
- 手指の機能や道具の操作能力を改善する訓練
- 認知機能や精神面の課題に応じた生活支援
- 発達上の課題がある子どもの遊びや生活動作への支援
- 仕事、学校、趣味、地域活動への復帰に向けた支援
作業療法士は身体障害領域に限らず、精神科医療、発達支援、高齢者支援などにも関わります。「作業療法士は手工芸を教える仕事」という理解は、職域の一部しか捉えていません。本人にとって意味のある活動を分析し、できる方法を見つけ、生活の再構築につなげることが専門性の中心です。
【就職先・活躍する職場】病院以外にも広がるキャリア
理学療法士と作業療法士の就職先には共通する部分が多くあります。急性期病院、回復期リハビリテーション病院、療養型医療機関、介護老人保健施設、通所リハビリテーション、訪問看護ステーションなどが代表例です。
一方、職場によって求められる専門性や対象者は異なります。急性期では病気やけがの直後から身体機能や生活動作の回復を支え、回復期では退院後の生活を見据えた集中的なリハビリに取り組みます。在宅分野では、本人の自宅環境や家族の介助状況も含めて支援を考えます。
理学療法士が活躍する職場
理学療法士は、運動器疾患や脳血管疾患、呼吸・循環器疾患などのリハビリを担う医療機関のほか、介護施設、訪問リハビリ、地域の介護予防事業などで働いています。スポーツチームや競技者のコンディショニングに関わる道もありますが、スポーツ分野の求人や採用条件は一般的な医療機関と異なる場合があります。
作業療法士が活躍する職場
作業療法士は、身体障害領域に加えて、精神科病院や精神科デイケア、発達支援施設、児童福祉施設、就労支援などでも専門性を発揮します。日常生活への復帰だけでなく、社会生活を続けるための工夫や環境調整、活動への参加を支援する職場がある点も特徴です。
ただし、理学療法士は身体障害、作業療法士は精神障害という単純な分担ではありません。理学療法士も精神面や生活背景を考慮しますし、作業療法士も筋力やバランス、移動能力などの身体機能を評価します。職種名だけで勤務先の業務内容を決めつけず、求人票にある担当領域や教育体制を確認することが大切です。

【資格・養成校・国家試験】2026年の最新情報と進路の選び方
理学療法士と作業療法士は、いずれも厚生労働大臣の免許を受けて働く国家資格です。「理学療法士及び作業療法士法」によって資格や業務などが定められており、国家試験に合格するだけでなく、免許登録の手続きも必要です。
養成校は原則3年以上。大学と専門学校の違いも確認
資格取得を目指すには、大学、短期大学、専門学校などの指定された養成課程で学び、国家試験の受験資格を得るのが一般的です。養成課程の修業年限は3年以上とされ、実際の進学先には3年制と4年制の課程があります。
学習内容には、解剖学、生理学、運動学、病理学などの医学的基礎科目に加え、評価法、治療・訓練技術、臨床実習などが含まれます。どちらの資格でも、教室で知識を学ぶだけでなく、実際の対象者への支援を想定した実践的な学習が必要です。
進学先を選ぶ際は、学費や通学時間だけでなく、臨床実習先、国家試験対策、卒業後の就職支援、希望する専門領域を学べるかどうかを比較しましょう。大学と専門学校のどちらが優れているかは一律には決まりません。学位取得の希望や学習環境、経済的な条件も判断材料になります。
2026年の第61回国家試験の合格率
厚生労働省が公表した第61回理学療法士・作業療法士国家試験の結果では、理学療法士の受験者12,436人のうち11,156人が合格し、合格率は89.7%でした。作業療法士は受験者5,426人のうち4,947人が合格し、合格率は91.2%でした。
新卒者に限ると、理学療法士は94.9%、作業療法士は96.6%です。これらは2026年に発表された試験結果であり、将来の受験者が同じ合格率になることを保証する数字ではありません。
合格率だけで養成校や資格の難易度を判断するのも適切ではありません。受験者の構成や試験問題、合格基準などが結果に影響するためです。学校を比較する際は、合格率の数字だけでなく、卒業者数、受験者数、新卒・既卒の内訳、複数年の推移も確認すると実態を把握しやすくなります。
なお、厚生労働省が2026年9月に公表した第62回国家試験の施行案内では、理学療法士・作業療法士の筆記試験は2027年2月21日、口述試験・実技試験は同月22日に予定されています。2026年秋以降に受験準備を進める人は、最新の公式案内で出願期間や試験条件を確認してください。
【年収・求人状況】理学療法士と作業療法士はどちらが高収入?
理学療法士と作業療法士の年収を比較する際は、職種名だけで給与の優劣を決めないことが重要です。勤務先の規模、地域、経験年数、役職、夜勤や各種手当の有無、賞与などによって収入は変わります。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、2025年の賃金構造基本統計調査を加工した年収データとして、両職種のページに全国443.6万円が掲載されています。ただし、同サイトは統計データが必ずしも当該職業だけの数値を示すものではないと注記しています。この数字だけで、理学療法士と作業療法士の実際の年収が同じだと断定することはできません。
求人賃金については、job tagに掲載された2025年度のハローワーク求人統計で、理学療法士は月額平均27.6万円、作業療法士は26.9万円でした。同じ統計の有効求人倍率は、理学療法士が4.67倍、作業療法士が4.39倍です。いずれも求人に関する指標であり、実際に働く人の平均給与や、すべての求人サイトを網羅した採用状況とは異なります。
年収や就職のしやすさを重視するなら、全国平均だけで判断するのではなく、希望する地域と職場の求人を複数比較しましょう。基本給、賞与の実績、昇給制度、住宅・資格手当、休日数、残業時間、研修費の補助などを確認すると、入職後の働き方を具体的にイメージできます。
また、将来の収入を考える場合は、管理職、教育・研究、特定領域の専門性、地域での活動など、キャリアの選択肢にも目を向けたいところです。資格取得はキャリアの出発点であり、資格名だけで将来の年収が決まるわけではありません。
【向いている人】適性とよくある誤解から進路を考える
理学療法士と作業療法士のどちらが自分に合うかを考えるときは、身体を動かすことが好きか、手先が器用かといったイメージだけではなく、どのような課題を見つけ、どんな変化を支えたいかを考えることが大切です。
理学療法士に向いている人
- 身体の構造や運動の仕組みに関心がある人
- 筋力、関節の動き、姿勢、歩行などを評価して改善策を考えたい人
- 運動や動作の変化を観察し、データや根拠をもとに支援したい人
- 病気やけがからの回復、介護予防、スポーツなどに関心がある人
一方で、運動機能の評価や身体介助を伴う場面に強い抵抗がある人は、実際の業務や臨床実習の内容を事前に確認した方がよいでしょう。身体を動かすのが得意であること自体は、必須条件ではありません。
作業療法士に向いている人
- 食事や着替え、家事など、生活の具体的な困りごとを解決したい人
- 一人ひとりの価値観や生活背景に合わせて支援方法を考えたい人
- 身体機能だけでなく、認知機能や精神面、環境にも目を向けたい人
- 子どもの発達支援、精神科医療、就労支援、高齢者の生活支援などに関心がある人
作業療法士も、対象者の身体機能を評価したり、反復練習を行ったりします。また、精神面や生活上の困難に向き合う場面もあるため、相手の話を聞きながら、状況に応じて支援を工夫する姿勢が求められます。
「理学療法士は運動、作業療法士は手芸」という誤解
よくある誤解の一つが、理学療法士は筋力トレーニング、作業療法士は手芸や工作を担当するというものです。実際には、理学療法士は身体機能の評価から日常生活に必要な動作の練習まで行い、作業療法士は手工芸に限らず、家事、仕事、遊び、対人交流などの活動を幅広く扱います。
また、歩行訓練は理学療法士だけが関わるもの、食事や着替えの訓練は作業療法士だけが関わるもの、と一律に分けられるわけでもありません。本人の目標や障害の状態に応じて、各職種の専門性を生かしながら役割を調整します。
進路選びで迷ったら、養成校のオープンキャンパスや説明会で、理学療法士と作業療法士の授業内容、臨床実習、卒業生の進路をそれぞれ確認してみてください。可能であれば、病院や施設で働く専門職の話を聞き、実際の業務を具体的に知ることも有効です。
【理学療法士作業療法士違い】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:理学療法士と作業療法士では、どちらが難しいですか?
A1:一概には比較できません。両方とも医学的な基礎知識、専門知識、臨床実習、国家試験対策が必要です。2026年の第61回国家試験では、理学療法士の合格率が89.7%、作業療法士が91.2%でしたが、単年度の合格率だけで資格取得の難しさを判断することはできません。
Q2:理学療法士と作業療法士の資格を両方取得することはできますか?
A2:両方の資格を取得することは可能です。ただし、それぞれの資格に対応する法令上の要件を満たし、国家試験に合格して免許を取得する必要があります。既に一方の資格を持っている場合の養成課程や履修条件は、進学先の学校や適用される制度に確認してください。
Q3:理学療法士・作業療法士と言語聴覚士の違いは何ですか?
A3:理学療法士は主に基本動作や運動機能、作業療法士は生活動作や社会参加を支援します。言語聴覚士(ST)は、話す・聞く・声を出すといったコミュニケーション機能や、食べ物を飲み込む摂食嚥下機能などを専門的に支援します。例えば脳卒中後の患者では、歩行、着替え、言葉の理解、飲み込みなど、課題に応じて複数の専門職が連携することがあります。
まとめ:2026年の進路選びで失敗しないための判断基準
理学療法士と作業療法士の違いは、リハビリテーションの専門性と、支援の目標にあります。理学療法士は、立つ・歩くなどの基本動作や身体機能の回復・維持を中心に支援します。作業療法士は、食事、着替え、家事、仕事、趣味など、その人が望む生活行為の実現を幅広く支えます。
どちらも国家資格であり、養成校での学習と臨床実習、国家試験を経て専門職として働きます。2026年の国家試験では両職種とも高い合格率が公表されましたが、資格取得の難易度や就職後の待遇は、合格率だけでなく学習環境や勤務先の条件も含めて考える必要があります。
進路選びで最も大切なのは、職種のイメージや年収の数字だけで決めず、自分がどのような人を、どのような方法で支えたいかを明確にすることです。身体の動きの仕組みを深く学びたいなら理学療法士、生活の中でできることを増やし、その人らしい暮らしや社会参加を支えたいなら作業療法士が、有力な選択肢になります。
最終的には、希望する領域の仕事内容、養成校の教育内容、卒業後の就職先、給与や勤務条件を具体的に比較し、自分の関心と働き方に合う道を選びましょう。両職種の役割を正しく理解することが、納得できる進路選択への第一歩です。 (出典: 理学 療法 士 作業 療法 士 違い(Yahoo!ニュース))