カメムシ大量発生2023はなぜ?注意報21県の経緯と2026年の対策を徹底解説
2023年の夏から秋にかけて、日本各地でカメムシの大量発生が問題になりました。8月末には14県で注意報が確認され、10月には21県へと拡大。LINEヤフー株式会社が公表した検索データでも、同年10月の関連検索ワードで「大量発生」が1位になるなど、社会的な関心の高さが数字に表れています。
背景にあったのは、記録的な高温とカメムシの繁殖環境です。ただし、米に被害を与える斑点米カメムシ類と、住宅や果樹園に飛来するカメムシ類では、生態や大量発生の仕組みが異なります。大阪・兵庫で検索が急増した理由、約2mmの隙間から侵入する実態、発生がいつまで続いたのかを整理し、2026年に役立つ予防策まで解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 注意報は14県から21県へ:2023年8月末に確認された14県に、その後7府県が加わり、10月には21県に拡大したと報じられた。
- 原因は高温だけではない:斑点米カメムシ類の繁殖・世代交代に加え、果樹カメムシ類ではスギやヒノキの実の豊凶も発生状況を左右する。
- 侵入防止は隙間対策から:約2mmの隙間でも侵入する場合があるため、窓の閉め方、網戸、サッシの隙間を点検することが大切。
- 2023年のピークは過去の記録:2026年の発生状況は別途確認が必要で、2023年の21県を現在の警戒地域とみなすことはできない。
【経緯を整理】カメムシ注意報はなぜ14県から21県に拡大したのか
2023年のカメムシ問題を振り返るうえで重要なのが、注意報の拡大と、秋にかけて急上昇した世間の関心です。
2023年8月末の報道では、青森、岩手、宮城、山形、福島、千葉、埼玉、石川、岐阜、愛知、島根、山口、高知、大分の14県で注意報が確認されました。その後、秋田、京都、和歌山、鳥取、佐賀、熊本、鹿児島が加わり、10月18日の報道では合計21県に達したとされています。
ここで押さえたいのは、注意報が単に「家の周りにカメムシが多い」という意味ではないことです。2023年に問題となった注意報の中心は、米の品質を低下させる斑点米カメムシ類に関するものでした。都道府県の病害虫防除所などが、農作物への被害を予測し、早めの防除を促すために発表する情報です。
そのため、注意報の発表地域と、住宅地でカメムシが目立つ地域は必ずしも一致しません。農業上の被害リスクと、家庭での侵入被害は、分けて考える必要があります。
2023年の主な動きを時系列で整理すると、次のようになります。
| 時期 | 主な出来事 | 読み取れるポイント |
|---|---|---|
| 2023年8月末 | 14県で注意報が確認される | 農作物への被害が広い地域で警戒された |
| 2023年9月 | 関西などで検索関心が上昇 | 地域によって発生や関心のピークが異なった |
| 2023年10月18日 | 注意報の発表地域が合計21県に拡大したと報道 | 秋にかけて警戒対象地域が広がった |
| 2023年10月 | Yahoo!検索の関連ワードで「大量発生」が1位 | 家庭での被害や発生状況への関心が高まった |
| 2023年10~11月 | 山陰などで検索量が大きく伸びる | 全国一律ではなく、地域ごとに時期がずれた |
| 2023年12月 | 全国的な検索量が概ね沈静化 | 秋の大きな関心の波は落ち着いた |
なお、上記の時系列は当時の報道と検索データを整理したものであり、21県すべてで同じ日に同じ種類のカメムシが急増したという意味ではありません。

【発生地域を検証】カメムシ大量発生はどこ?大阪・兵庫が注目された理由
2023年の発生地域を調べる際には、注意報の発表状況と検索データを区別すると、実態を理解しやすくなります。
LINEヤフー株式会社が2023年12月25日に公開した「ビッグデータで振り返るカメムシ大発生2023」によると、2023年10月のカメムシ検索では、大阪府と兵庫県が特徴的に高い地域として示されました。
同レポートが用いた「特徴度」は、単純な検索回数の多さを示すものではありません。その地域で、カメムシがほかの地域と比べて特徴的によく検索されたことを表す指標です。したがって、大阪・兵庫の数値から、両府県のカメムシの実数が全国最多だったと断定することはできません。
一方、全国的な検索量のピークは10月だったのに対し、関西では9月に大きな山が現れました。四国、九州・沖縄でも9月がピークとなり、山陰では10~11月に大きく伸びています。関東から中部にかけては、8月の段階で検索量が上向いた地域もありました。
つまり、2023年の大量発生は、全国で一斉に始まり、一斉に終わった現象ではありません。気候や餌の状況、カメムシの種類、地域ごとの生活環境によって、目立つ時期がずれていたと考えられます。
また、大阪・兵庫が検索上の注目地域だったことと、先述の21県の注意報リストに両府県が含まれていたかどうかは別の話です。21県として報じられたリストに大阪府と兵庫県は含まれていません。検索量の高さだけで、農業上の注意報の発表状況を判断しないことが大切です。
【原因を分析】2023年の高温と斑点米カメムシの繁殖・世代交代
2023年の大量発生を考えるうえで、まず注目すべきなのが夏の気温です。
気象庁が2023年9月1日に発表した「夏(6~8月)の天候」によると、2023年の日本の夏の平均気温は、1898年の統計開始以降で最も高くなりました。北日本・東日本・西日本で夏の平均気温がかなり高く、日本の平均気温偏差は基準値に対してプラス1.76℃でした。
昆虫は変温動物であり、気温は発育や繁殖の進み方に影響します。春から夏にかけて繁殖を繰り返す斑点米カメムシ類では、高温の日が長く続くことで発育が進み、年間の世代交代が増えた可能性が指摘されました。
ただし、「高温だったから、すべての種類のカメムシが同じ割合で増えた」と考えるのは正確ではありません。種類によって食べ物も生活環境も異なり、気温以外の条件も個体数を左右します。
斑点米カメムシ類は、水田周辺の雑草などを生活場所とし、稲が穂を出す時期に水田へ侵入して籾を吸汁する種類です。被害を受けた米には黒色や茶色の斑点が生じ、玄米の外観や品質が損なわれることがあります。
農林水産省の防除資料でも、被害の程度は稲の出穂期、水田への侵入量、発生するカメムシの種類などによって変わると説明されています。農業では、単にカメムシを見つけたかどうかではなく、発生状況と作物の生育段階を踏まえた対策が必要です。
もう一つの要因が、果樹カメムシ類の餌となるスギやヒノキの実です。農林水産省によると、チャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、ツヤアオカメムシなどは、山林でスギやヒノキの球果を餌にして生活します。山林で餌が不足すると、果樹園に飛来し、果実を吸汁して落果や奇形果などの被害を起こすことがあります。
このように、2023年のカメムシ問題には、高温による発育・繁殖への影響と、種類ごとに異なる餌の状況という複数の要素がありました。斑点米カメムシ類の増加と、果樹カメムシ類が住宅地や果樹園に現れる現象を、すべて同じ原因で説明することはできません。

【侵入を防ぐ】カメムシは2mmの隙間から室内へ?効果的な対策
カメムシの厄介な点は、屋外で大量発生するだけでなく、住宅内に入り込むことです。2023年10月の報道では、平たい体を持つカメムシが約2mm程度の隙間から室内へ侵入することがあると紹介されました。
窓を閉めているのに虫が入ってくる場合、網戸そのものだけでなく、網戸と窓ガラスの位置関係、サッシの隙間、ドアの隙間、配管周辺なども確認する必要があります。網戸が設置されていても、枠の隙間や建具の閉め方によっては侵入を防ぎきれません。
住宅設備メーカーのYKK APも、網戸を閉めていても隙間から虫が入る場合があると案内しています。窓を半開きにすると隙間が生じやすいため、換気の際には窓と網戸の位置関係を確認することが重要です。
家庭で取り組みたい侵入防止策は、次の5つです。
- サッシと網戸を点検する:網の破れ、枠のずれ、パッキンの劣化を確認し、必要に応じて補修する。
- 窓の開け方を見直す:網戸と窓の間に隙間ができない位置で使用し、半開きの状態を避ける。
- 玄関や換気口を確認する:ドアの下、換気口、配管の貫通部分など、外部につながる隙間を点検する。
- 洗濯物を取り込む際に確認する:衣類やタオルにカメムシが付着していないかを見てから室内へ持ち込む。
- 必要に応じて専用の防虫剤を使う:窓枠などへの使用が認められた製品を選び、表示された用法・用量を守る。
屋外の照明に集まる個体が目立つ場合は、玄関や窓付近の照明の使い方も見直すとよいでしょう。ただし、光対策だけで侵入を完全に防げるわけではありません。まずは、建物の隙間を減らすことを優先してください。
室内でカメムシを見つけても、むやみに手でつぶすのは避けましょう。刺激を受けると臭いのある分泌物を出すため、紙や容器でそっと捕まえる、粘着テープを利用するなど、直接触れずに処理する方法が適しています。殺虫剤を使う場合も、対象害虫や使用場所が製品表示に合っているか確認してください。
なお、農地での防除と家庭での侵入防止は別の問題です。農家が斑点米カメムシ類を防除する場合には、水田周辺の雑草管理や適期の薬剤防除などが関係します。家庭での対策をそのまま農地に適用できるわけではなく、地域の病害虫発生予察情報に沿って対応する必要があります。
【いつまで続いた?】2023年の終息時期と2026年現在の見方
「カメムシ大量発生はいつまで続くのか」という疑問について、2023年の検索データは一つの目安になります。
LINEヤフー株式会社の分析では、全国のカメムシ検索量は10月にピークを迎え、関西では9月、山陰では10~11月に大きな伸びが確認されました。12月に入ると、全国的に検索量はおおむね落ち着いたとされています。
ただし、これは検索量の推移であって、全国のカメムシが12月に一斉に消えたことを意味するものではありません。気温や地域、種類、越冬場所などによって、目撃される時期には差があります。暖かい日には、秋のピークを過ぎても住宅周辺で見かけることがあります。
さらに、2026年現在の状況を調べる際は、2023年の数字をそのまま使わないことが重要です。農林水産省は2026年も、果樹カメムシ類と斑点米カメムシ類について、それぞれ注意報・警報や発生動向の情報を掲載しています。公表資料の日付も、果樹カメムシ類は2026年10月14日現在、斑点米カメムシ類は同年9月24日現在など、種類によって異なります。
つまり、2023年に21県へ拡大したという事実は、当時の発生状況を示すものです。2026年の発生地域や注意報の有無を知りたい場合は、農林水産省の最新資料と、居住地の都道府県が公表する病害虫発生予察情報を確認してください。
特に注意したいのは、「注意報が出ていないからカメムシがいない」とは限らないことです。注意報は農業被害を防ぐための予察情報であり、家庭周辺での目撃数を直接示す全国共通の指標ではありません。住宅の侵入対策は、地域の注意報の有無にかかわらず進められます。

【カメムシ大量発生2023】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:カメムシ大量発生の原因は、2023年の猛暑だけですか?
A1:猛暑は重要な要因の一つですが、それだけではありません。斑点米カメムシ類では発育や世代交代への影響が指摘され、果樹カメムシ類ではスギ・ヒノキの実の豊凶なども発生状況を左右します。種類ごとに原因を分けて考える必要があります。
Q2:2023年に大阪・兵庫でもカメムシが大量発生したのですか?
A2:LINEヤフーの検索分析では、大阪府と兵庫県が2023年10月にカメムシを特徴的によく検索した地域として示されました。ただし、検索の特徴度は虫の実数そのものではありません。また、当時21県として報じられた注意報のリストには、大阪府と兵庫県は含まれていません。
Q3:カメムシはいつまで出ますか?
A3:2023年は全国的な検索量が10月にピークを迎え、12月にはおおむね沈静化しました。ただし、地域や種類、気温によって出現時期は異なります。毎年同じ月に一斉にいなくなるわけではないため、秋から冬にかけても住宅の隙間対策を続けると安心です。
【プロの結論】2026年に生かすカメムシ対策の判断基準
2023年のカメムシ大量発生が示したのは、異常な高温と繁殖環境の変化が、農業と日常生活の両方に影響し得るということです。注意報が14県から21県へ拡大した経緯、Yahoo!検索で「大量発生」が1位になった事実、大阪・兵庫で関心が高まった動きは、当時の問題の広がりを示しています。
一方で、発生の原因や対策は、カメムシの種類によって異なります。米の品質に関係する斑点米カメムシ類については農業上の発生予察と適期防除が重要であり、住宅に侵入するカメムシについては、網戸やサッシ、換気口などの隙間を減らすことが基本です。
対策を選ぶ際の判断基準は、次の3点です。
- 農作物への被害が心配な場合:農林水産省や都道府県の病害虫発生予察情報を確認し、作物と発生種に応じた防除を行う。
- 自宅への侵入が気になる場合:約2mmの隙間でも侵入する可能性を踏まえ、サッシ、網戸、玄関、換気口を優先的に点検する。
- 現在の発生状況を知りたい場合:2023年の報道や検索データではなく、2026年の最新の発生情報と居住地域の公表資料を確認する。
カメムシの発生を天候だけで予測することはできません。しかし、発生情報を正しく読み解き、住宅の隙間をふさぎ、適切な時期に対策することは可能です。2023年の大量発生を過去のニュースとして振り返るだけでなく、その教訓を毎年の備えに生かすことが、被害を抑える現実的な方法です。 (出典: カメムシ 大量発生 2023(Yahoo!ニュース))